①収益還元法の三手法の概要

直接(永久)還元法・インウッド式・DCF法の関係について述べます。

簡単化のためインウッド式の有期期間及びDCF法の保有期間を、ともに5年間とします。どの手法も第一期~無限の将来までの純収益の現在価値の総和を求めております。したがって、それぞれの計算は「各期の純収益」と「各期の利率」を計算上明示することが可能です。そこで、三手法の「各期の純収益」と「各期の利率」を明示していきます。不動産鑑定評価基準の記号で明示します。

なお、不動産鑑定評価基準・留意事項のインウッド式・DCF法の各左項は第一期~第五期の純収益の現在価値の総和であり、インウッド式・DCF法の各右項は第六期~無限の将来の純収益の現在価値の総和であります。ご注意ください!

直接(永久)還元法:P=a/R

純収益(第一期~無限の将来)は「a」、利率(第一期~無限の将来)は「R」

インウッド式:P=a/(1+Y)+a/(1+Y)²+a/(1+Y)³+a/(1+Y)⁴+a/(1+Y)⁵+b/Z(1+Y)⁵

純収益(第一期~第五期)は「a」で純収益(第六期~無限の将来)は「b」、利率(第一期~第五期)は「Y」で利率(第六期~無限の将来)は、「Z」

DCF法:P=a₁/(1+Y)+a₂/(1+Y)²+a₃/(1+Y)³+a₄/(1+Y)⁴+a₅/(1+Y)⁵+a₆/R₅(1+Y)⁵

純収益(第一期~第五期)は「a₁」「a₂」「a₃」「a₄」「a₅」で、純収益(第六期~無限の将来)は「a₆」、利率(第一期~第五期)は「Y」で利率(第六期~無限の将来)は「R₅」

インウッド式の「b」「Z」は便宜的に私が設定しました。補足説明します。

インウッド式の右項の分子は、n年後の不動産価格(「土地価格マイナス建物撤去費」又は「土地・建物価格」)ですが、当該価格を土地残余法又は永久還元法で求めることを仮定すると、

PLN-E=b/Z又は、PLn+PBn=b/Zを満たす「b」「Z」がまさに、第六期~無限の将来における「純収益」であり「利率」に該当します。

すなわちこれらの三手法の相違点は、純収益・利率を単一にするか、各期ごとに設定するか(DCF法の保有期間の純収益)の違いに過ぎません。この内容を前提に次回はDCF法を適用した場合の直接還元法・インウッド式の適用のあり方をご説明いたします。

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