②DCF法適用の際の直接還元法

 DCF法を適用する場合には、証券化評価でないときにも、直接還元法による検証が常に可能です。

 通常の場合、投資家の観点で保有期間を設定します。5年~10程度です。短期保有が合理的であることを想定したDCF法を適用します。短期保有が合理的であると仮定した場合、直接還元法では長期保有のシナリオによる計算が可能です。当然、長期保有による直接還元法(永久還元法)の収益価格は、短期保有によるDCF法の収益価格より、低位になります。永久還元法は、長期間不動産で保有するため、還元利回りは、短期で売却を想定しているDCF法による最終還元利回りよりも将来の不確実性に伴うリスクが高く高位になります。

 逆に稀なケースとして、長期保有が合理的である場合には、DCF法では、永久に保有する想定で、(n+1)期の純収益及び最終還元利回りを求めます。直接還元法では、短期保有を想定して、インウッド式を適用します。DCF法の収益価格よりもインウッド式の収益価格の方が低位となるべきです。

 仮にDCF法と同じシナリオで直接還元法を適用すると、両者は同額の収益価格となり、意味がありません。短期保有・長期保有のどちらが合理的かを判断して、DCF法を適用し、その逆のシナリオで、直接還元法による検証を行うべきなのです。

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