A⑤収益還元法計算の基礎第5回

 「賃料の前払い的性格を有する一時金の運用益及び償却額」を「年賦償還率」で算定します。当該一時金の額を「毎期の運用益及び償却額」の現価の総和に等しいという方程式を立てて「毎期の運用益及び償却額」を求めます。

 すなわち、第1回の「毎期の純収益」から「純収益の現在価値の総和」を求める反対の作業です。上記の関係はここでは「毎期の純収益(毎期の運用益及び償却額)」を「純収益の現在価値の総和(毎期の運用益及び償却額の現価の総和)」から求めるのです。逆の関係で、両者の指数は一方の「逆数」です。年賦償還率は、

 B=Z/(1+Y)+Z/(1+Y)²+Z/(1+Y)³+Z/(1+Y)⁴+Z/(1+Y)⁵=Z×{(1+Y)⁵-1}/Y(1+Y)⁵・・・①

 1=Z/(1+Y)+Z/(1+Y)²+Z/(1+Y)³+Z/(1+Y)⁴+Z/(1+Y)⁵=Z×{(1+Y)⁵-1}/Y(1+Y)⁵・・・②

 Z=B×Y(1+Y)⁵/{(1+Y)⁵-1}・・・③

 Z=Y(1+Y)⁵/{(1+Y)⁵-1}・・・④

 (Z:求める運用益及び償却額、Y:割引率、B:賃料の前払い的一時金の金額)

 ②式は、①式にB=1を代入して求めています。「一時金の金額(B)」が「毎期の運用益及び償却額(Z)」の現価の総和に等しいという方程式を立ててZを求めます。

 ここは第1回の復習です。第1期~第5期の複利現価率の総和が5年間の複利年金現価率です。忘れた方は第1回を参照ください。4.329476です。その逆数をとり、

 1/4.329477=0.23097478です。定額法では、1/5=0.2なので、0.23097478-0.2=0.03097478だけ毎期の利息分増加しています。年賦償還率は、B=1のときのZなので、一時金の金額が100万円であれば、「運用益及び償却額」はZ×100万円です。0.23097478×100万円

 =230,975円です。定額法では、0.2×100万円=20万円ですから、

 「毎期の運用益及び償却額」は、30,975円それより利息分増加しています。

 係数のまとめです。

 係数は単純な二つの「複利現価率」「複利終価率(複利現価率の逆数)」を使い各四つの係数を求めます。「複利現価の合計」に関する二つ、すなわち、純収益の現在価値の総和である「複利年金現価率」、一時金の金額から毎期の運用益及び償却額を求める「年賦償還率(複利年金現価率の逆数)」です。

 「複利終価の合計」に関する二つ、すなわち、「複利年金終価率」(毎期の一定額の終価の総和であるが、この係数は通常問題にならない。)、毎期の減価償却費の終価の総和である建物価格から毎期の減価償却費を求める「償還基金率(複利年金終価率の逆数)」である。

 まとめると、「複利現価の総和」及び「複利終価の総和」に関する四つを整理して、そのうち三つは収益還元法の各場面と関連付けて整理してください。

 終価の総和は、毎期の積立額(配分額)の単純総和(定額法の総和)より大きくなり、現価の総和は、毎期の積立額(配分額の)単純総和(定額法の総和)より小さいです。

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