⑤解雇権濫用法理及び労働者側からの解約の申し出

 労働契約では、期間の定めのない契約の場合、事業主から解約の申し出を行うには相当の事由がなければならないことはご存知でしょうか。社会通念上妥当と認められる場合です(常識的に妥当な場合。)。 むやみに解雇権の行使ができないという解雇権濫用法理と言われる考え方です。したがって、就業規則に解雇の条件を明示していても、妥当性を欠く場合は、解雇権は制限されます(解雇できません。)。
 さらに、30日前までの解雇予告又は30日分の解雇予告手当の支払いが必要です。

 では、労働者側からの解約はどうでしょうか。業務内容の引継ぎが必要なので、「1(又は2)か月前の申し出を行うものとする。」という等のものが、就業規則又は労働契約に記載することが一般的です。

 しかし、労働法には明文の規定はなく、一般法である民法第627条第1項で、「雇用は解約の申し入れ日から2週間を経過することによって終了する。」とされています。したがって、上記の「1(又は2)か月前に申し出を行うものとする。」という規定に法的効力はなく、単なるお願いでしかありません。
 法律解釈をよくご理解した上で、労働条件にご記載ください。

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