入門編③マクロ経済の全体構造

 マクロ経済では、二つの事情(表の事情・裏の事情)により、国(公益法人・独立行政法人を含む)は歳出超過です。

 表の事情は、民間企業は利益活動を行うということです。令和元年度の国民所得は553兆円です。私は1年間に民間企業の投下した資金(元手)の合計額は400~500兆円と推計します。仮に500兆円投下したと仮定すると、市場に53兆円資金供給が増加しなければ上記実績ができません。黒字企業が約7割・赤字企業が約3割と言われます。民間企業の利益活動の見地から国の財政の実質的歳出超過が必要です。さらに詳細を申し上げますと、国家全体の民間企業において投下した資金を上回る収益が獲得できるためには、国家経済の歳出超過が必然と言えます。

 歳出超過の具体的な内訳は明確にはされていません。国家予算では、毎年国債の償還額を大きく上回る額の新たな国債発行がなされます(約24兆円)。公益法人・独立行政法人では、「~資金管理機構」等の資金管理団体を通して前記法人に資金が流入しています。市場原理で利益活動が可能である産業は民間に任せますから、利益活動が困難な公共財に限定して歳出超過の産業が運営されています。

 裏の事情は、民間企業が供給する一般財のみの経済より、多数の高度な公共財がある経済の方が望ましいということです。仮に公共財がゼロで、表の事情の民間の利益活動のみを考慮しますと、国民補助金等を支出して、消費額を増加する必要があります。インフレが生じ、好ましくない経済です。

 よく誤解があるのは、「国の支出額を増加すると、財政が悪化し経済が悪化する。」というものがあります。インフレ・デノミのリスクは高まりますが、全体の消費総額が増加して経済は好転することが一般的です(適正な一定程度の支出の場合)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です