⑤相続・離婚における不動産

 相続の場面においては、①相続税の節税対策②遺産分割の適正化の2つがあります。 
 ①の節税対策では、財産を不動産で保有した方が「相続税計算上の財産評価額」(以下「相続税評価額」という。)が、現金預金で保有した場合より小さくなるため、一定の不動産保有は有効です。ここで、時々誤解があるのは不動産の市場価格が、「相続税評価額」と同様に低位になってしまうということですが、これは誤りです。不動産の市場価格は、「相続税評価額」と同額又は比例関係にはありません。あくまでも「相続税評価額」とは、「相続税計算上の財産評価額」であります。
 さらに、稀に土地の状態が地域の標準的な使用よりも劣る等で、財産評価基準で算定される「相続税評価額」よりも価格が著しく低位となる場合、不動産鑑定が有効となることがあります。
 建物については、築年が古い場合等で、不動産鑑定が有効となることがあります。
 相続財産に不動産が含まれている場合には、是非一度不動産鑑定士にご相談してみてください。

 ②の遺産分割では、不動産価格が争点となる場合がございます。遺産分割協議では、当事者の任意の判断で多様な価格計算が行われております。当事者間の話し合いにより遺産分割が可能ですので、計算方法も合意した方法で行われます。話し合いができない等の場合には、不動産鑑定を一つの方法としてご検討いただくことも有効です。

 離婚の場面においては、財産分与で不動産価格が争点になっている場合に、不動産鑑定が有効です。ご検討ください。

相続税対策としての節税

 相続税の節税としては、相続財産を現金預金で多額に保有するより、ある程度は不動産で保有する方が有利です。特に多額の資産をお持ちならなおさらです。自宅を土地建物5千万円(土地3千万円・建物2千万円)の保有をした場合で考察しましょう。通常相続税評価額(相続税計算上の財産評価額)は土地は約8割、建物は約5~7割です。仮に8割とすると5千万円×0.8=4千万円です。さらに、小規模宅地等の特例の対象となる土地であれば、土地は2割評価です。3千万円×0.8×0.2=480万円です。建物は約7割とすると、2千万円×0.7=1,400万円です。

 土地480万円+建物1,400万円=1,880万円

 5千万円相当の財産を現金預金ではそのままの額で評価されますが、不動産では4千万円や1,880万円と評価されます。もちろん市場価格が5千万円であれば、相続税評価額が低くても、経済価値は下がりません。多額の財産をお持ちでしたら、是非一度不動産鑑定士にご相談ください。

 ただし一点ご注意ください。相続財産の遺産分割では、ある程度の現金預金を保有していないと分配時に適正に分配できないことがあります。一定の現金預金の保有を余裕を持って行ってください。

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