入門編⑥市場経済の本質(国家経済の歳出超過)

 令和2年度の予算案を見ていきます。

 一般会計歳出 基礎的財政収支対象経費:79兆円・国債費:24兆円(債務償還費:15兆円・利払費等:9兆円)

 一般会計歳入 租税等:64兆円・公債金等:39兆円

 歳出については、基礎的財政収支対象経費とは、主として社会福祉費・公共事業費等に対する支出です。収入する側の家計・一般企業から見れば、「収益」に該当します。一方、国債費については、債務償還費は「借入金の返済」、利払費等は「支払利息」(家計・一般企業から見れば「収益」)に該当します。

 歳入については、租税等は主として各種税金でございます。支出する側の家計・一般企業から見れば「費用」に該当します。一方、公債金等は「借入金」に該当します。

 ここで、家計・一般企業から見れば「収益」「費用」の部分は同額で相殺され、「借入金」「借入金の返済」の部分も同額で相殺されます。

 「収益」88兆円(79兆円+9兆円)の「費用」64兆円に対する相殺部分を除くと24兆円、「借入金」39兆円の「借入金の返済」15兆円に対する相殺部分を除くと同様に24兆円になります。この場合、国は24兆円の実質的な歳出超過になります。

 令和元年度の国民所得は553兆円でございます。ここからは、明確な数値が把握できないため、一つの想定の数値になります。国民所得は平たく考察すると、国民全体の売上高の合計額です。553兆円が売上高ですので、仮に1年間で投下した資金額が500兆円であれば、純利益が53兆円で経営が成功したことになります。この場合、国は53兆円の歳出超過になります。私は、国家予算以外でも、公益法人・独立行政法人等の予算でも支出超過が考えられて、その総額は50~150兆円程度と推計します。従いまして、400~500兆円の資金(元手)を投下した結果、553兆円売上高を計上したと推計します。

 ここでは、国等が歳出超過することで、家計・一般企業が投下した資金額を上回る売上高が計上され、民間の利益活動が可能になるということが重要となります。別の回で後述する公益法人・独立行政法人等の経済活動との関連についてもご留意ください。

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