国家財政の配分システム

 「もったいない」いう概念は、国家財政には妥当しません。令和5年度の実質国民所得は約556兆円です。ここで、民間事業者の1年間の投下した元手は実際には公表されていませんが、例えば約470兆円と仮定します。そうすると、民間事業者の利益の合計額が556兆円-470兆円=86兆円です。
 では、高齢化社会で仮に介護保険を手厚くするために、社会保障費が以前より10兆円増加したとします。
 この間、介護事業者等の売上が10兆円増加します。令和4年度にこのような状況になれば、国民所得が556兆円+10兆円+アルファ=566兆円+アルファになります。
 このように歳出が増加すると、その分消費が増加します。この時10兆円増税するとまた、国民所得が10兆円+アルファ減少して、556兆円です。
 よく誤解がありますが、社会保障費が10兆円増加すると、国民全体が10兆円貧乏になると考えがちです。インフレ・デノミのリスクが高ければ、10兆円増税すると良いでしょう。
 +アルファというのは、介護事業者の従業員等の消費等により2次、また3次4次・・・という消費の連鎖があるからです。なお、消費額は後ほど減少します。
 高齢化社会を仮定すると、実働年齢16~64歳の労働者の負担が増加すると考えがちです。大量生産・技術革新等により、先の時代の方が、負担が軽減します。
 仮に人口減少・高齢化率増加でも、経済規模が縮小しますが、悪影響は小さいです。
 数値例を示します。国民所得が300兆円・民間事業者の投下資本額が250兆円というのが一例です。ご安心ください。利益活動が極端に困難にはなりません。
 高齢化社会でも、過度に心配性にはならないでください。
 増税に関しても、歳出総額の調整に過ぎず、経済が極端に悪化するような手法はあまりみられません。
 減税に関しても、国民所得が投下した元手との乖離が大きいと、インフレ・デノミのリスクが高まり、国民の所持する資金が増加しても、それに相応するインフレがあれば、あまり有用ではありません。

 公共事業は、その時代の最も高い技術を駆使して、国民全体の利便性を最大限高めます。
 公共事業で、全国規模のものを、中品等・下品等のものを提供して歳出を抑制しても、国家財政の適正水準の歳出を行うので、減税等を行います。
 例として、高速道路を低額な設計で建設しても、民間事業者ではないので、低額であることによる利益増額にはなりません。歳出額の抑制にはなりますが、減税等で国民に資金提供しても、高速道路が充実したものと、低額なものとの比較は、充実したものの方が、利便性が高く、民間経済に好影響が強いです。

  結局のところ、財源を確保して、歳出する要素を選択するという考え方は非現実的です。
 公共財を最高度に充実させて、歳出額を調整するために、増税・減税等を行うものとご理解ください。
 なお、社会保障費は、サービスを受ける方が過剰に満足する水準には設定しません。リハビリ等で社会活動が可能な方は、寝たきり等にならないようにするからです。よく政府は予算がないから、サービスに限度があると説明します。
 社会保障サービスは可能な限り、お世話にならない方が好ましいからです。

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