円安・ドル高論
近年、円安・ドル高・ユーロ高で推移しています。日本経済においてどのような影響があるでしょうか。
1ドル100円から1ドル200円に極端な円安・ドル高を想定して、金額例で考察します。
当初1,000円だった日本製品は、アメリカで10ドルから5ドルに値下げします。他方、10ドルだったアメリカ製品は、日本で1,000円から2,000円に値上げします。
マクロ経済学では、日本では、日本の純輸出が増加して国民所得が増加、アメリカでは、アメリカの純輸出が減少して国民所得が減少と、ここまでの分析になります。
マクロ経済の現実論では、さらに、アメリカの経営努力に言及します。アメリカの経営者は、日本で高く売ることになったアメリカ製品の技術向上・費用削減等の経営努力を行います。
すなわち、日本の経営者の経営努力よりも、アメリカの経営者の経営努力が上回りますが、日本の経営成績の方がアメリカの経営成績より良いでしょう。
1990年代後半から現在までを失われた30年とよく言われますが、ちょうど円高ドル安基調で推移してきました。
日本の経営者は、多大な経営努力を重ねてきました。
その結果、国内的にはデフレ経済、国際的には円高とどちらも貨幣価値を高める効果を発揮しました。
30年間賃金が横ばいと言われますが、実質賃金はデフレ経済・円高等を考慮すると上昇しています。
同じ1円でも時期に応じて貨幣価値が変動します。