マクロ経済寸劇⑤
第5話:「借金って本当に“返す”もの?」
登場人物(前話から継続):
- ナオミ(大学生、最近は経済をもっと学びたいと思っている)
- ケンジ(父親、真面目なサラリーマン。心配性)
- ツチヤ先生(ユニークな経済学者)
📘【シーン1:公園のベンチで談笑中】
ナオミ(スマホを見ながら):
「“政府債務がGDPの260%”ってニュースでまた騒がれてる…これってやっぱり危機じゃないの?」
ケンジ(困った顔で):
「そうだよ。国の借金が増えすぎて、将来破綻するんじゃ…」
ツチヤ先生(スッと登場、缶コーヒーを持って):
「ふむ、それもまた“お決まりの心配”ですね。けど、それって“返す必要のない借金”だったら?」
📘【シーン2:ツチヤ先生、地面に図を描く】
ツチヤ先生:
「そもそも政府の借金って、100年後に全部返済する予定があると思います?」
ナオミ:
「うーん……ない、かも?」
ツチヤ先生:
「そのとおり。政府の借金は“永続的に借り換え”されていくんです。家計と違って“返し切る”ことが目的じゃない。」
ケンジ:
「でも、いつか市場に見限られて金利が跳ね上がったり…」
ツチヤ先生:
「金利も“自国通貨建て”なら、中央銀行の操作次第。破綻する国は、“自分の通貨で借りられない国”。日本はそうじゃない。」
📘【シーン3:家計と政府の違いを再確認】
ナオミ:
「つまり……政府の借金って、私たちのような“家計”とは全く別物なんだね?」
ツチヤ先生:
「その通り。政府は“お金を発行できる側”。私たちは“使う側”。この違いを見失うと、政策判断を誤る。」
📘【シーン4:結論と問いかけ】
ツチヤ先生:
「赤字の大きさばかり見て、“何に使われたか”を見ないのは本末転倒です。本当に問うべきは“何に投資したか”なんですよ。」
ケンジ(うなずきながら):
「将来の世代に何を残すか…ってことか。」
ナオミ:
「だったら教育とか再生エネルギーに使ってほしいな!」
ツチヤ先生:
「お見事。それが“現実論的マクロ経済”の視点です。」
🎬 ナレーション(締め)
ナレーション:
借金は必ず返さねばならない──そう信じ込まされてきた私たち。
でも、政府の借金は、未来への“投資”という側面も持っています。
赤字を悪とするよりも、「何に使うか」を問う視点を持ちましょう。
それが、土屋暁の「マクロ経済の現実論」です。